疲れ果てた元税理士事務所職員の備忘録

よく観察し、自分で納得し、決断してすぐ動くべし。

元税理士事務所職員の本音-仮想通貨とかNFTとかの確定申告(2)~NFTに関する国税庁の考え方と姿勢

2023.1.14 元税理士事務所職員の本音

 

昨日のNFTの記事を書かせて頂きましたが、

丁度同日に、国税庁のNFTに関する確定申告等に関する取扱いの

考え方に関する指針発表がありました。

 

国税庁ホームページより

NFTに関する税務上の取り扱いについて(情報)(令和5年1月13日)

https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/0022012-080.pdf

 

今回のこの指針発表で、大筋の取り扱いが明確になりましたが、

まだ基本的な部分の取り扱いに関する話なので、込み入ったイレギュラーな

事例がこれから出てくるかと思いますが、その都度、国税も個別対応で

対処していくこととなります。

今回の発表で、取り扱いがどんな感じになったかというと、

美術品とか、一般商品(キャラクターグッズ)などのような取り扱い

という方針で動くとのことです。

イメージ的には、電子書籍とかに似ていると言えます。

国税庁の説明は、文言や言い回しがどうやっても法律用語の連発なので、

まぁ読みづらい事w

お役所関連の文書なので、この辺は致し方ないところです。

方針さえ分かれば、取り扱いで悩むことも無くなるので、大分気持ちも

軽くなります。

私自身、LINE NFTなどで無償もらったNFTがいくつかありますので、

この取扱をどうしようかなぁ・・・と、割と悩んでいたところです。

 

【個人確定申告の区分判断プロセス】

 上記国税庁文書のP.7に明文があります。要点をつまんで落とし込むと

 下記のような流れになります。

 ・NFTの販売業者や物販等多品目の卸、小売業者であれば普通に

  「事業所得」で良さそうです。

   →事業(商売)として利益を稼ぐ場合の判断。

 ・保有しているNFTが高価な美術品であれば「譲渡所得」です。

  この場合、1個(ないし1セットで機能する場合はセット判断)で

  30万円超の価格である場合に譲渡所得に該当となります。

   →事業(商売)ではなく、突発で発生した売却の場合。

    継続して利益を得ようとした場合は、上記の事業所得か

    下記の雑所得となります。

 ・私自身が保有するNFTは、手ごろなキャラクター商品で、

  なおかつNFT販売を事業(商売)にしないので「雑所得」で

  申告という事になります。

 ・あとは一般商品なので、消費税を税務署に納める事業者であれば、

  販売先の兼ね合いもありますが、日本国内の人に販売する限っては

  消費税は含まる判断となります。

 

また、NFTの仕組みの観点から、販売者の立ち位置で、経費の取り扱いが

次の通りになります。

【NFTを製造して販売する場合(いわゆる「一次流通」)】

 国税庁文書 P.3に記載されている文章の要点は下記のとおりです。

 ・NFTを鋳造する費用(いわゆるミント費用):売上原価

   →書籍で言う所の印刷費用と同じことになります。

    なので、NFTを作って在庫として残った場合は、

    一般の商品売買でよく言われる「利益」となり「税金が掛かる」

    という所に該当します。

    専門用語としては、

    期末在庫計上なので、販売完了するまでは、費用計上は先延ばし

    となりますので、結果的にその分利益が増えます。

 ・NFTの基礎となるデザイン費用(デジタルアート製作費):その他必要経費

 上記にも記載しましたが、この辺の取り扱いは、電子書籍の販売業者と

 ほぼ同じような取り扱いとなります。

 

取扱が分かれば、それほど難しくないかと思います。

あとは、NFT流通情報を国税庁がどこまで追えているかという点です。

結論から言うと、おそらくかなりの範囲で把握できていると考えられます。

仮想通貨系の取り扱いがここまで整備されてきているという事は、

国税庁内で専門部署があると考えた方が自然です。

過日の記事にも書きましたが、

国税庁の諜報能力は、日本国内でトップクラスを誇る機関です。

昨今の法整備が成される前からも、既にその凄さはあるので、

情報収集は出来ているという前提で考えておく方が自然です。

 

「でも自分は見つかってないし・・・大丈夫じゃね?」って思う方も

いるかと思いますが、金額が小さかったりとか、泳がされている等、

費用対効果で釣り合わないとか、お目こぼしなだけという理由が大半だそうです。

※前回の記事にあった元国税庁職員の大学の先生から、

 実際に話を聞いた内容となります。

日本国内の仮想通貨取引業者が、ここ2-3年、証券会社のように年間取引報告書

を出すようになったのはなぜなのか?というのを考えれば、

なんとなくは理由が見えてくるのではないかと思います。

業者からしたら、報告書を作るのは手間暇かかるので普通はやりたがりません。

海外の取引業者だと、当然ながら取引報告書は無かったりするのが普通です。

確定申告する人の自己責任で集計計算をやればいい事なのですが…

それほどまでに、国税庁の情報収集の手というのは広いという事です。

 

国税庁側の見解も明確になれば、あとはその見解を元にどう対策をとるか

を考えるだけですので、その辺は個々の判断となります。

別段、正直に申告すればいいんじゃね?と思うのは私個人の気持ちです。

そもそも、隠すほどのものが無いので…ウッ(´;ω;`)

 

以上、本日の記事でした。

ご覧いただきまして、誠に有難うございました。

確定申告はめんどくさいですが、それでも上手く立ち回れば、

手元に残るお金も大分違ってきます。

小さく地道に積み重ねるので、もっと大きく稼ぎたいという事だと、

今回の記事ではちょっと物足りないのかもしれません。

ですが、最終的には地道な作業の積み重ねが勝ったりするので

なかなかに侮れません。

カンタンなところからやっていくというので良いのかなと思います。

 

…よさげなNFT、どこかに落ちてないかなぁ(´・ω・`)