疲れ果てた元税理士事務所職員の備忘録

よく観察し、自分で納得し、決断してすぐ動くべし。

元税理士事務所職員の本音-仮想通貨とかNFTとかの確定申告

2023.1.8 元税理士事務所職員の本音

 

新年を迎えて1週間が過ぎました。

三連休の中日でこの記事を書いていますが、絶賛確定申告の処理中ですw

私自身、個人事業主ですので青色申告をしておりますが、

その個人事業主部分の計算は既に終わっているので、

あとは、証券会社の特定口座年間取引報告書の出そろい待ちで、

投資関係の申告内容の準備とチェックをしております。

 

投資関係の確定申告に関しては、主に下記の点の注意が必要です。

・昨年中に使った証券会社は、念のため確認する。

 最低限「特定口座年間取引報告書」を受け取って中身を見て確認。

 ただ、このチェックだけでは足りない場合があります。

 それは「特定口座」という名前の通り、

 特定口座でやっていない取引、いわゆる「一般口座」分の取引が

 無いかを確認する必要はあります。

 【具体的な状況と対応について】

   私自身、前年度(令和3年度)の株式取引の際に、一部の取引で、

   間違って「一般口座」で売買していた部分がありました。

   当時、楽天証券のマケスピIIを使い始めた超初心者だったところで、

   設定をミスって一般口座取引のままで売買をしてしまいました。

   元々税理士事務所で同じ事例をお客さんの例でやっていたので、

   年間取引報告書にのらないのを踏まえて、一般口座で売買した日に

   全て数字を集計して下準備。

   年明けに楽天証券の年間取引報告書でチェックして、改めて記載が

   ないのを確認して確定申告で合算して申告を行いました。

 一般口座取引は本当に特定口座年間取引報告書には記載されませんので、

 記憶に自信のない方は、確認はしておいた方が良いと思います。

・貸株金利を貰ってる人も、特定口座年間取引報告書に数字が載らない

 ので、必ず別途集計計算して「雑所得」区分で申告する事。

 ※ポイント投資で単元未満株(いちかぶやS株など)の場合は、

  貸株サービス適用外が一般的なので気にしなくても大丈夫です。

 証券会社の個人・会社問わず、年間取引情報は全て国税庁に行っている

 と思った方がいいです。

 無論、完全に100%が行っているわけではないのですが、そこそこの

 金額はもれなく国税庁へ行っています。(情報収集ルールが存在します)

 情報が行っていなくても、後日国税庁が情報提供を証券会社に要請

 すれば、すぐに情報が行く仕組みになっているので、

 どちらにしても逃げられません。

 国税庁の情報収集能力は、国内随一と言っても過言ではありません。

 主要な大きい金額の情報はリアルタイムに集まるようにしつつも、

 末端の小さい金額の情報も、情報提供要請ですぐに集まるようにも

 なっているので、マイナンバー云々は正直あまり関係なく、

 マイナンバー実施前から既に結構な範囲で筒抜けだったりします。

 マイナンバー化で、ちょっと便利になったねレベルでしかありません。

 私もデイトレをするようになって、地味に貸株金利もあるので、

 集計を忘れないようにしておかないと、申告漏れでつつかれる

 事になります。

 国税庁側も「株式投資=貸株金利は付き物」という前提で見て

 いるので、申告しなければ、調査・推定計算されて

 「漏れてまーす ('∇')ノ」って、にこやかに言われる事間違いなしです。

・仮想通貨について。これが一番厄介な処理となります。

 投資で売買している分には、FXみたいなものなので、それほど問題では

 ありませんが、確定申告になると厄介度が跳ね上がります。

 (※海外のFX取引業者とかも似ているかもしれません。)

 日本国内の仮想通貨取引所であれば、年間取引報告書を出している

 取引所も多いので、それほどではありませんが、取引報告書が無いと、

 自分で1年分を集計する必要があります。

 長らく仮想通貨投資をされている方であれば、これがどれほどの地獄

 なのかは、身に染みていると思います。

 【税理士事務所勤務時代のはなし】

  仮想通貨投資が大々的に言われ始めた2018年頃に申告対応をした事が

  ありましたが、まぁ、冗談抜きで地獄でした。

  取引データだけお客さんから投げられて、「集計宜しく!(´∇`)b」

  ってやられたことありましたが、その場で殴りつけようかと思う

  レベル。デイトレクラスの取引数を集計しろと。

  しかも仮想通貨間で交換とかも混ぜてたので余計に…。

  当時勤務していた事務所内でも、仮想通貨投資を分かっている人が

  私以外居なくて、他の職員さんの担当するお客さんの中にも、

  仮想通貨投資で申告する方が数名いましたが、

  ほかの職員さんは、仮想通貨投資の確定申告をどのように

  集計計算すればいいのか分からずに、困り果てていたという事が

  ありました。

  投資関係の内容を知っていれば、仮想通貨もFXとほぼ同様の集計を

  すればいいというのが分かるのですが、それぐらい投資の知識の

  ある人が、職員数数十人そこそこの大きな税理士事務所なのに、

  殆ど居ないという事が分かると思います。

  良くも悪くも古き時代の業種だなと思うところです。

 

 話は戻しますが、仮想通貨関連投資の確定申告で注意しないといけない

 のは次の点です。

 ・年間取引報告書を回収する

   →株式投資と同じです。これがあるのが一番です。

 ・年間取引報告書が無い場合は、自分で集計をする。

   →他人に任せると、間違えられる可能性は高いです。

    自分のことは自分が一番よく分かるので、他人に任せるのは

    やめましょう。

    集計が嫌だというなら、仕事を依頼する先と相談して、

    不幸にならないやり方は必ずすり合わせましょう。

    自分自身が嫌なものは、プロの人だって嫌なのは変わりません。

    お金を払ってる云々を差し引いても、時間や手間を取られたら

    誰でも嫌だと思いますよ?

    ホントAI早く進化して仕事取ってくれとww

 ・貸コイン利息(レンディング)が漏れていないか確認する。

   →ガチガチに仮想通貨投資している人でも、貸コインしている、

    していないは好みが別れるかと思います。

    また、貸コイン利息も同じ仮想通貨で貰えることから、

    円換算するのも手間がかかってしまいますが、集計しないと

    申告漏れになります。

 ・エアドロップ、マイニング等の取得内容次第で申告方法が変わる

   →貰い方や貰う通貨等の種類によって申告の仕方が変わります。

    「マイニング(発掘)」の場合

     発掘で通貨獲得した時点の相場価格で評価して、

     所得計上が必要です。

      通常は雑所得

       ポイ活レベルは大体こっちになります。

       bitstarとかのポイ活で、取引所口座に着金完了できた

       時点で申告対象となります。*

        *  これを言い切る理由がありまして、

         本来の権利確定の観点では、送金発注時という

         考え方もありますが、ポイ活系は口座着金までは

         本当に送金できているかが未確定と言えます。

         ポイ活やってる人なら、いろんな事例で耳にした

         ことがある方もいると思いますが、昨年の例で

         「ぴたコイン」が送金したと嘘をついて1年以上

         送金せずに放置して、(※実際、私はそれをやられ

         ています)夜逃げしてアプリも使えなくなった事例が

         あります。

         その経験から、着金したところで実体確認、通貨

         保有確定という事実を元に、着金で確定申告と

         いうように考えています。

         送金した詐欺を利益計算で税金だけ払わされるのは

         さすがにバカらしいので、この辺はリスク含めて

         申告計算する必要があります。

      ガチ事業なら事業所得の収入計上

       マイニングと仮想通貨売買で生計立ててる人は、

       個人事業主と同じような申告となります。

      (※正常な経費の範囲等は、また違う深遠な話なので、

        ここでは省略します。)

     ●ポイントなのは、ビットコイン等のように

       既に取引所売買が形成されている通貨なので、

      「売ればすぐに換金できる=取得時換金価格=課税対象」

       という事になります。

       逆に取得価格がここで確定するので、この後にこの通貨を

       元手に通貨売買をすると、

       売買損益が、取得時に出た課税対象分に追加で加算・減算

       されることとなります。

 

    「ハードフォーク(分裂・分岐)」の場合

     最近の有名どころだとリップルXRP保有でドロップする

     フレア(FLR)がこれに該当しますが、この事例でも分かる

     通り、現時点では取引所の相場が形成されておらず、

     フレア配布後に、取引所に取り扱い通貨が追加される

     という順番なので、下記の通りとなります。

      上場前初期配布での取得のため「価値0円」で取得

       →「取得時は申告不要」

        2022.12.12 9:00時点の権利確定なので、

        権利確定主義の観点から、

        厳密には取得は令和4年となります。

      取引所が動き始めて売却すると

       →「取得原価が無いため収入額が100%利益」

        「利益全額が申告対象」

     ちなみにフレアは1月中に配布開始予定なので、令和5年度の

     確定申告の範囲ですが、評価額0円なので、売却までは

     課税対象とはなりません。

 

 ここまでの内容に関しては、国税庁で公表している取り扱い情報に

 明記があります。

 令和4年12月22日発表

 「暗号資産に関する税務上の取り扱いについて(情報)」

  -令和3年12月22日付け情報の改訂版文書

 https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/virtual_currency_faq_03.pdf

 国税庁タックスアンサー

www.nta.go.jp

 

フレアの配布関係については、取引所ごとで動きが違いますので、

保有および配布受取取引所の告知ページをご確認ください。

参考までに、SBIVCトレードとbitbankのページを挙げますと

次の通りです。

SBIVCトレード 2023/01/06

「【重要】Flareトークン(旧Sparkトークン)の「取扱」、および「付与」について」

https://www.sbivc.co.jp/newsview/68rsvdqc2w4h

 

bitbank 2023/01/06

「フレア(FLR)は付与されますか(旧Sparkトークン)」

https://support.bitbank.cc/hc/ja/articles/900003811426-%E3%83%95%E3%83%AC%E3%82%A2-FLR-%E3%81%AF%E4%BB%98%E4%B8%8E%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%BE%E3%81%99%E3%81%8B-%E6%97%A7Spark%E3%83%88%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%83%B3-

 

COINPOST 掲載記事

coinpost.jp

 

 ・上記を眺めると、ここで一つ問題が出てきます。NFTの配布です。

  仮想通貨の取り扱いについては、税制の良し悪しは別として、

  情報は大分出そろってきております。

  しかしNFTに関しては、上記の取り扱いに関する情報の中には

  明確な記載が無く、またタックスアンサーを見ても、

  エアドロップ時点の取り扱いの明記は無く、対価を支払っての

  取得や、仮想通貨と同様に売買相場のある状態での取得について

  の取り扱い記載のみとなります。

www.nta.go.jp

 

 【ここからは個人的な意見です】

  おそらく、仮想通貨のハードフォークやマイニングと取り扱いが

  同じになると考えられます。

  ポイントは、「取得時点での取引所の相場があるのか」という点

  が判断材料ではないかと思います。

  NFT配布時点で、下記のような整理になると考えられます。

  ・既に売買が行われているNFTであれば「価値あるモノの取得」で

   「取得時」に「取得した日の相場価格」で課税される

   「売却時」は「売却金額と上記の取得価格の差額損益」が課税される

  ・取引所売買は全くされていない「新規発行NFT」であれば、

   「取得時」は「相場価格が存在しない」ので申告不要

   「売却時」に「売却金額全額」が課税される

 

  法律の一貫性のことを考えると、性質の似ている暗号通貨とNFTで

  取引がかけ離れるという事は考えにくいところです。

  稀に政策論で差をつける例外も考えられますが、それをする理由が

  よほどの事(何かしらの事情で悪用される等)が無い限りは、

  考えにくいので、おそらく上記の取り扱いになるのかなと思います。

 

 上記で分かる通り、必ず「事実認定→課税関係の認定」となります。

  事実の発生時点での経済価値形成過程を元にして、

  利益(通貨・サービス問わず)発生時点を認識 → 課税認定です。

  国税庁側も、何でもかんでも頭ごなしに課税している訳ではない

  ので、「自分がどの時点で美味しい思いをしたのか」という事を

  念頭に置く必要はあります。

  また、株式投資と同様に、

  「美味しい思いをしたけど、自分の判断ミスで美味しい思いが

   減ってしまった」という多段階プロセスも課税認定では分解して、

  「同じ年度 or 年度跨いでいるのか」とか、

  「偶然に貰った or 自分の判断で得した・損した」とか、

  必ず種別にカテゴライズして課税判断が行われます。

  法律を扱う人たち(役所の人や法曹界士業者など)は、

  良し悪しは別として法律・ルールを元に動くので、その元となる

  ルールや原則を知ることは大切です。

  結局、知らないと損をするのは自分自身なので、これを面倒と取るか

  動かは自分次第、という事になります。

 

取り急ぎ、申告する必要のある情報は洗い出せたと思います。

あとは、特定口座年間取引報告書待ちで、

一番遅いのが楽天証券の1/13(金)なので、それを待ちながら、

ほかに漏れが無いかチェックしたいと思います。

貸株、貸コイン、ポイ活は結構漏れやすい部分ですが、

特に色々とポイ活やりすぎると、こういう所で面倒くさいです。

それでもお金を0から生み出す装置と考えるなら、

これぐらいは自分でやらないと…と思うところです。

でも、やっぱりめんどくさいなぁ(´Д`)

 

ここまでご覧いただきまして有難うございました。

確定申告は面倒くさいですが、自分自身が納税者という感覚を

しっかり持つことが、結局お金を貯める要素にもつながるので、

やった方がいいとは思います。

今まで学校教育でちゃんと教えず、最近学校教育で~、という話は

聞きますが、家庭科で教えるとか、そんなに税金を絞り取りたいのかと

正気を疑う話です。

政治経済なら社会科なのに…と個人的には思います。

 

ということで、おつかれさまでした~。

良い休日を!

 

 

 

 

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