IPOスケジュールと企業内容のメモ書き(4) ~12月26日の週のIPO銘柄について
2022.12.14 IPOスケジュールと企業内容のメモ書き(4)
~12月26日の週のIPO銘柄について
今月もいよいよ最終週を迎えるところで、同時に年末に差し掛かるところです。
外も相当に寒く、大雪予報のニュースも飛び込んでくると、年末を否が応でも
感じるところです。
ここ数日のIPOも相当に荒れた取引となっており、
サンクゼールのように非常に強い需給に支えられた銘柄もあれば、
スカイマークのように、直線上昇と急降下をひたすら繰り返す予測不能な銘柄も
あり、またストップ安をステップするような銘柄もありで、
ひたすら投資家を翻弄し続けるような相場となっています。
この中で、誰が得をしているのかと、素朴に思ってしまうような状況です。
さて、今月最終週26日の週のIPO上場銘柄の内容を確認したいと思います。
上場数も山場を越えましたが、とはいえまだまだ上場数もありますので、
引き続きしっかり情報確認をしていきたいと思います。
例によって情報源としては各企業のHPの他、
「IPO 株のはじめ方」さんのサイトも参考にさせて頂いております。
(※ いつも本当にお世話になっております。)
IPOの羅針盤として良質な情報源ですので、ご存じでない方には特におすすめです。
管理人さんのIPO当選実体験も記載がありますんので、
是非そちらもご覧頂ければと思います。
出典は下記のとおりとなります。
また、情報追記がありましたら、随時改定していきますので、
お役に立てれば幸いです。
IPO上場企業数 6社
・12/26(月)3件
会社設立:2003年6月(今年で20年目)
事業内容:土木工事業
公募価格:1,280円
シンジケートカバー(誠意買い):1,177.6円
株主構成・ロックアップ期間(設定のある株主のみ):
松藤 展和(社長) 66.40% 180日間
アクアプレコン株式会社(非上場) 12.85% 180日間
松藤 真弓 4.62% 180日間
松藤 花梨 4.62% 180日間
松藤 南輝 4.62% 180日間
千家 道恵 1.85% 180日間
飯塚 朋子 1.23% 180日間
桑田 豪 0.92% 180日間
江間 哲郎 0.92% 180日間
川口 宏二 0.77% 180日間
過去5年間情報
売上増収:18年1月期 782百万円 → 915 → 620 → 814 → 673
当期純利益:18年1月期 139百万円 → 147 → 23 → 181 → 38
所感:
・業種としては土木業ですが、この会社の強みである「アップコン工法」
があり、地盤の不同沈下(地盤のゆがみで建物が傾く)による
コンクリート床の沈下・傾き・段差・隙間を完全ノンフロンのウレタン
樹脂と小型機械を使って修正するという技術を持っています。
この技術の強みをどこまで評価されるかがポイントになりそうです。
・今回の上場が名証ネクストという事で、この上場が逆にハンデになって
しまいそうな可能性があります。
また、同日に他2社の上場があり、12/22のエージェント・インシュアランス(5836)の
二の舞になる可能性が高いため、非常に悩ましいところです。
・財務面は一定水準は売上は出ているものの、やや波があり、利益も
それに連動して波を打っていることから、やや不安定感が否めない所です。
・ロックアップ関連も、180日間のがっちりとしたロックアップであるため、
株式流通量は、かなり絞られる状況となります。あとは、投資家需給次第
といったところです。
ダイワ通信(7116)
会社設立:2016年3月(今年で7年目)
事業内容:セキュリティ事業(防犯・監視カメラなどの企画・販売施工・保守、
顔認証技術などを利用したソリューションの提供)、モバイル事業(携帯
電話などの販売および代理店業務)
公募価格:1,700円
シンジケートカバー(誠意買い):指定なし
株主構成・ロックアップ期間(設定のある株主のみ):
IWAMOTOアセットマネジメント(株) 51.02% 180日間
岩本 秀成(社長) 41.37% 180日間
前田 憲司 4.43% 180日間
隈田 佳孝 2.44% 180日間
多賀 勝用 0.74% 180日間
過去5年間情報
売上増収:18年3月期 2,220百万円 → 2,961 → 2,937 → 6,740 → 4,791
当期純利益:18年3月期 39百万円 → 13 → 99 → 1,404 → 394
所感:
・ソフトバンクの一次代理店としてのモバイル事業と
防犯カメラ関連の販売・施行・保守を行うセキュリティ業を行う
会社です。
・ソフトバンクの一次代理店という立ち位置を考えると、モバイル事業は
比較的仕事をしやすい環境と考えられます。
・また、防犯カメラ関係のセキュリティ関連業務に関しても、昨今の
生活環境を考えると、需要は確実にある業務と考えられます。
カメラ関係という事で考えると、コロナ禍による通信系特需で
直近2年の決算業績の伸びは、納得できる範囲であります。
この辺は、セグメント別の業績を見ないと、断定的な判断は難しい所
ですが、全体業績を眺める限りは上記のような推定はできそうです。
・最新財務情報もやはり欲しいところで、直近の業績がどうなのかという
ところはポイントになりそうです。
なので、上場日当日に公表になる決算情報待ちとなります。
アルファパーチェス(7115)
会社設立:2010年11月(今年で13年目)
事業内容:間接材の物販事業およびファシリティマネジメント事業
公募価格:880円
シンジケートカバー(誠意買い):指定なし
株主構成・ロックアップ期間(設定のある株主のみ):
アスクル(株)(東証P・2678) 75.06% 360日間
多田 雅之(社長) 3.81% 180日間
田邉 孝夫 1.90% 180日間
中川特殊鋼MROパートナーズ投資事業組合 1.49% 180日間
齋藤 正弘 1.08% 180日間
新日本実業(株)(非上場) 0.75% 180日間
佐藤 徳久 0.61% 180日間
松木 伸男 0.51% 180日間
土屋 亙 0.49% 180日間
過去5年間情報
売上増収:17年12月期 34,368百万円 → 35,976 → 35,207 → 32,447 → 37,948
当期純利益:17年12月期 121百万円 → 367 → 536 → 506 → 510
所感:
・株主構成を見ても分かる通り、アスクルの子会社となります。
主に、インターネットを活用した間接材(消耗品類)の販売事業と、
商業施設関連の設備運営(修繕や改装、清掃など)をしており、
アスクルの業務の延長線上の仕事をカバーしているような役回りと
言えます。
・今回の上場による資金は全額設備投資資金という事なので、
おそらく、設備運営関連の投資と考えられます。
財務データとしては、売上水準も横ばいではあるものの、利益を
しっかり確保しているが、どのように事業拡大するかが焦点になりそうです。
この部分については、上場日当日の事業計画の内容次第となります。
・12/27(火)2件
BTM(5247)
会社設立:2011年8月(今年で12年目)
事業内容:地方人財を活用したDX推進支援など
公募価格:1,500円
シンジケートカバー(誠意買い):指定なし
株主構成・ロックアップ期間(設定のある株主のみ):
yoshida investment(株)(非上場) 42.47% 180日間
吉田 悟 14.17% 180日間
K&Pパートナーズ2号投資事業有限責任組合 12.55% 90日間 1.5倍(2,250円)
田口 雅教(社長) 11.24% 180日間
MTインベストメント(株)(非上場) 8.69% 180日間
懸川 高幸 3.71% 180日間
過去5年間情報
売上増収:18年3月期 2,253百万円 → 2,093 → 2,291 → 2,477 → 3,042
当期純利益:18年3月期 43百万円 → 10 → 12 → -82 → 66
所感:
・業務的には、地方拠点のIT人財提供サービスとその関連業務という
ことなので、昨今の経済状況の観点からは、需要のある業務と言えます。
地方人材の調整なので、コスト的にも効率よくやりやすい面も
多いと考えられます。
・財務情報的にも安定して増収、利益も安定増益という事で、手堅い内容
となっていますが、緩やかな増加なので、事業拡大速度がどれぐらいに
なるかが、株価上昇の度合いにも跳ね返ってきそうな感じがあります。
・株主の中に株価でロックアップ解除の構成員が居るので、
上場当日の株価上昇に制限が掛かる形になります。
また、保有株主の構成員として、特殊関係者(役員等)の個人会社と
思われる企業の保有割合も高いことから、ロックアップ解除となる
先日付の時点も、株価には注意が必要になってきそうです。
ELEMENTS(5246)
会社設立:2013年12月(今年で10年目)
事業内容:生体認証・画像解析・機械学習技術を活用した、
オンライン本人確認サービス『LIQUID eKYC』などの個人ソリューションと
衣食住における個人最適化ソリューションの開発・提供
公募価格:160円
シンジケートカバー(誠意買い):指定なし
株主構成・ロックアップ期間(設定のある株主のみ):
久田 康弘(社長) 34.41% 180日間
(株)BOC(非上場) 6.88% 180日間
加藤 寛之 4.41% 180日間
山谷 明洋 4.41% 180日間
上田八木短資(株)(非上場) 3.24% 180日間
コタエル信託(株)(非上場) 2.94% 180日間
鶴岡 章 2.13% 180日間
過去5年間情報
売上増収:17年11月期 77百万円 → 431 → 346 → 949 → 1,362
当期純利益:18年3月期 -714百万円 → -557 → -474 → -800 → -569
所感:
・事業内容は前半の内容はなんとなくイメージにはなりますが、
後半の個人ソリューション云々~はフワッとしすぎて、なんだかなぁ・・・と
思うところで、企業HPを確認しても、その業務内容は誰のためなのかな、
と感じてしまうのが否めない所であります。
・ロックアップの構成株主には入っていませんが、伊藤忠商事も3.68%
出資をしており、それ以外にも法人株主の構成もいる事から、
割と注目度合いとしてはあるのかなと思います。
・しかし財務面に難があり、増収傾向ではあるものの、大幅な赤字が続いている
ことから、財務面でのマイナス要因が株価に大きく跳ね返りそうな
感じがあります。そのため、公募株価も160円と相当に控えめの設定で、
かなり悪材料視される恐れがあります。
・上場による資金用途に関しても、人件費に充てる予定とのことで、
完全な運転資金扱いであり、この部分の評価が焦点になりそうです。
株式市場は銀行ではないんですけどね・・・(´・ω・`)
・12/29(木)1件
スマサポ(9342)
会社設立:2012年4月(今年で11年目)
事業内容:不動産管理業界に向けた複数ソリューション提供と入居者アプリ
公募価格:800円
シンジケートカバー(誠意買い):指定なし
株主構成・ロックアップ期間(設定のある株主のみ):
(株)CABO DA ROCA(非上場) 33.31% 180日間
太田 卓利 24.59% 180日間
大東建託パートナーズ(株)(非上場*) 5.90% 180日間
Hamagin DG Innovation投資事業有限責任組合 4.92% 90日間
小田 慎三(社長) 4.31% 180日間
(株)DGベンチャーズ(非上場) 2.95% 90日間
藤井 裕介 2.84% 180日間
太田 玲 2.66% 180日間
NEXT ONE有限責任事業組合 2.18% 90日間
みずほ成長支援第4号投資事業有限責任組合 2.17% 90日間
*)関連会社として 大東建託(1878)となります。
主に大東建託で作った建物の資産管理関連がメインの会社です。
過去5年間情報
売上増収:17年9月期 79百万円 → 847 → 1,438 → 1,860 → 2,029
当期純利益:17年9月期 -117百万円 → -83 → 112 → 152 → -50
所感:
・不動産関連で、なおかつ管理業務メインという事なので、サービス業
となります。
大東建託関連ということなので、これ自体で人によって大きく評価が
別れる部分となります。
・上記とは別に、不動産管理に関連して入居者アプリを業務の中に
入れてくるという事なので、大東建託内部でしっかり囲い込む戦略
として立ち上げた企業なのかなという意図を感じるところです。
そのため、財務内容も売上連続増収、利益は赤字・黒字の波ありで、
おそらくこの赤字はアプリ開発費用等の事業投資での赤字と
考えられます。
この辺は、最終的に上場日当日に出てくる決算データでの最終判断
になってくるところです。
ただ、数字だけを見ると、ややリスクありな企業と判断出来てしまう
ため、上場日当日は注意が必要と思われます。
以上、12/26の週の上場銘柄となります。
流石に、サンクゼールのインパクトが強すぎるので、力不足を感じずには
居られませんが、それでも正味の株価を発掘して、市場に挑戦していく必要が
あるので、上場日まで引き続き分析調査していきたいと思います。
ここまで長文ですが、ご覧いただきまして有難うございました。
修正等がありましたら、随時直していく予定です。
IPO参加の皆様、よい結果が出せるように頑張っていきましょう。
私はトリドリで大失敗をしておりますので、
それを教訓に、引き締めながら頑張っていきたいと思います。
お疲れさまでした!