疲れ果てた元税理士事務所職員の備忘録

よく観察し、自分で納得し、決断してすぐ動くべし。

ふるさと納税と返礼品 その4 ~ ふるさと納税の具体的な効果(税金関係の備忘録)

税金関係の備忘録 ふるさと納税と返礼品 その4

 

そもそもの話、ふるさと納税がここまで持てはやされているのでしょうか?

ご存じの方もいると思いますが、

ふるさと納税で支払った金額全額が、税金負担額から差し引かれるから」です。

専門用語でいうところの「税額控除」っぽい性能があるという事です。

この言い回し、ちゃんとした理由があります。

 

ふるさと納税は、元々「寄付金控除」と呼ばれる「所得控除」枠に属するもので、

税金負担軽減としては、「支払額×税率」という内容となります。

なので、支払額に対して税率を掛けた税額分だけが、税金負担として軽くなる

という内容となります。

一方で冒頭にも触れた「税額控除」という言葉ですが、

これは、「支払った金額=税金負担を軽減する金額」という内容となります。

要は、払った金額は税率を掛けずにダイレクトに負担税額から差し引くという

システムになります。かなり特殊枠の部類になります。

採用される項目も限定されているので、使う場面は非常に限られる内容となります。

 

ただふるさと納税に限っては、上限金額が決まっていますが、

支払った金額全額が税金負担額を減らすという効果があります。

ただし制度の構成上、一部は所得税負担額の軽減、一部は住民税負担額の軽減、

といった具合に、複数の税目に散らして税金負担軽減を行っています。

租税理論とかひも解いて理論的に解説し始めると、ワケが分からなくなるので

小難しいことは置いておくとして、制度の作り方として金額の一部分が「税額控除」の

ような効果が出るような設計になっています。

 

ふるさと納税以外の寄付金控除の場合は、

支払った金額×税率だけしか、税金負担軽減の効果はありません。

ふるさと納税の場合は、

「元々の税率部分の税金負担軽減枠に加えて、特別枠で支払った金額の一部を

 税金負担軽減枠に入れていい(上限設定あり)」という設計になっています。

なので「税額控除っぽい」というのは、ここに理由があります。

ふるさと納税は、あくまで「所得控除」です。

この「一部を負担軽減枠に入れていい金額」を見積もろうとしているのが、

ふるさと納税で支払った金額全額が控除できる」という意味になります。

 

色々とうんちくを垂れ流しましたが、

「住民税(所得割)の税額の20%までは、ふるさと納税で支払った金額

全額が税金負担額を減らすことができる。」

という点を押さえてもらえれれば大丈夫です。

幸い、住民税(所得割)の税率は、収入の大きさに関係なく一律10%なので、

課税所得金額×(10%×20%:実質2%)=ふるさと納税全額控除上限額

と覚えれば、ざっくりと数字が把握することができます。

 

サラリーマン+副業収入(*)がある場合、どうやって見積もればいいかというと、

サラリーマン給与部分は、ふるさと納税サイトの見積もり計算のできるページで

取り急ぎ計算したうえで、その結果に上乗せで下記の内容を加えます。

副業収入部分は「利益金額×2%」が「上乗せでふるさと納税全額控除できる枠」

という事になります。

 

(*)副業収入の中には、雑所得や不動産所得などが入ります。

  株式投資などの譲渡所得や、分離課税枠に指定した配当収入などの分離課税枠は、

  住民税率が違ってくるので別口で計算する必要があります。

 

ここまで複雑なのは、

元々税法の設計自体が、個人の状況ごとに細かく税金負担割合を調整できる設計

であるためです。面倒くさい反面、うまくコントロールすると、税金負担は

軽くできるという事になります。

(この辺は論点が違うので、いずれ別口で取り上げます。)

 

一応、参考サイトです。

www.soumu.go.jp

 

―――次に続きます