疲れ果てた元税理士事務所職員の備忘録

よく観察し、自分で納得し、決断してすぐ動くべし。

ふるさと納税と返礼品 その3 ~ ふるさと納税でどんな風に金額が決まるのか?(税金関係の備忘録)

2022.11.6

税金関係の備忘録 ふるさと納税と返礼品 その3

前述までは、手続き手順と税金の流れを簡単に解説してきました。

今回は、皆さんが一番関心のある、

「具体的に、支払った金額全額を控除できる上限金額をどうやって計算するの?」

に触れていきたいと思います。

 

先に結論からお伝えしますが、

「サラリーマン以外は簡単には計算できない。

 サラリーマンでも、条件次第では簡単に計算できない場合もある。」

です。身も蓋もありません。

 

まず先に、収入が給与だけという人に関しては、

ふるさと納税の専門サイトには大体付属している

シミュレーションのページを参考にされるのが一番手っ取り早いです。

 

例えば「さとふる」のサイト。

www.satofull.jp

このサイトにも記載がありますが、下記の注意書きの通り、

※簡単シミュレーションは所得が年金の方、自営業者の方にはご利用いただけません

「※所得控除は、社会保険料控除、基礎控除配偶者控除・扶養控除が含まれています。生命保険料控除、地震保険料控除、医療費控除などの所得控除は考慮されていません。」

となっております。

これらが加わるだけで、見積もりサイトで出た数字から簡単に

金額が変わってしまうためです。

 

細かく見たい場合は、下記のサイトが参考になります。

www.furusato-tax.jp

こちらであれば、

収入が給与+株式投資(配当除く)まで対応ができるようになり、

保険料控除や医療費控除、住宅ローン控除の影響も含めて見積もりができます。

とはいえ、このサイトでも副業収入の雑所得・事業所得や

不動産投資・賃貸業の不動産所得や株式投資の譲渡所得などは

対応できないため、

やはり見積もりができる範囲が限定的となります。

 

ではどうしたらいいの?ってなりますよね。

この辺は、結局のところ、確定申告をある程度勉強する必要があるのですが、

それでは身も蓋もありません。

 

ここに関する結論を先に言うと、

・厳密解を求めるなら、確定申告書を自分で1度作ってみる事

・ざっくりで求めるなら、ふるさと納税の所得控除額の中身を理解する事

・その理解の上で、

 「住民税所得割額の20%までがふるさと納税の全額控除上限額」

 であること。

 

となります。

サラリーマン以外の、副業勢や個人事業主勢、配当収入FIRE勢、

不動産投資勢の方たち等々、サラリーマン専業以外の方たちは

頑張って勉強するしかありません。

 

どうしても簡単に目安だけでも数字を見つけたいという事であれば、

まずふるさと納税分は除いた、今年1年間の収入状況を確定申告で

計算見積もりします。

この作業を現時点(この記事を書いているのは2022/11/5)でやるとすると、

まず10月までのデータを集計します。

11~12月分の収入・経費・利益が分かっていないので、予測値を計算します。

 →この2つのデータを合算して、税金計算の対象となる利益(所得金額)

  を割り出します。

 

●サラリーマン専業が、この作業がなぜ不要なのかというと、

給与収入の取り扱いが、全て法律に書かれた計算ルールで自動計算が

行われて計算結果が出るようになっているためです。

サラリーマンは、こういうところは凄く恵まれていると言えます。

 

利益計算が出来上がったら、あとは確定申告書で行くところの「所得控除」

の数字を集計していきます。

社会保険料(社保・国保・年金)や生命保険・地震保険、医療費控除などの

数字を集計して所得控除の合計額を出します。

この際、ふるさと納税は一旦置いておきます。

 

利益額-所得控除額=税金計算対象の「課税所得金額」が計算できます。

課税所得金額×住民税率10%=住民税(所得割)が算出されます。

なお、株式投資の場合は住民税率は5%となります。

あとは、この「住民税(所得割)額×20%」がふるさと納税で、

税金を軽減できる上限額となります。

 

この結果を元に「逆算してふるさと納税上限額を割り出す」という事になります。

 

・・・自分で書いていても、やっぱり面倒だなと思います。

ですが、計算過程等を文章で説明すると、こういう事になります。

計算過程は書きましたが、これに更に情報を追加すると、

金額規模が大きくなると、さらに「細かい上限額」が出てきます。

例えば、ふるさと納税自体の上限額が3,000万円以上支払った場合、

超えた部分が、所得税・住民税の所得控除計算の完全な対象外になるなどのような

設定がありますが、大体がウン千万円クラスの相当大きな金額の場合が

対象になるだけなので、年収1,000万円を超える事が無ければ、

気にしなくても大丈夫だったりします。

 

サラリーマン以外は、上限額を簡単に計算はできないというのはなんとなく

分かると思いますが、

結局キーポイントは「利益金額」と「所得控除額」となります。

この2つが割り出せない限り、

ふるさと納税の全額控除上限額は計算できないという事です。

サラリーマン、本当にうらやましい限りです。

 

―――次に続きます